花見が浜の蔵 福岡県福津市 三原様
2022/06/02
1.建物
私の家は、佐賀県七山村より納屋兼牛舎として使用していた蔵を、牛枠や敷石をそのまま再利用し、住宅として新たな命を吹き込んで再生させた土壁の家です。
土壁は竹小舞に荒塗り、中塗、上塗り、漆喰と何層にもなっていて約30センチ程の厚みがあります。
2.空気
ずっしりと重厚感でで鎮座する玄関の蔵戸。その横には迫力満点の江戸中期の鬼瓦(享保7年)が訪れる方を出迎えます。
その戸を開け中に入るとまず「空気」の違いが分かります。木の香りだけでなく、表現しにくいのですが日本人が本来持つ「和」のDNAが刺激されるとでも言うべき土壁の凛とした空気に包まれます。
訪れた人たち(集金や配達員を含む)は例外なく皆「凄いですね・・」と感嘆の声をあげられます。
3.床
床は厚さ40ミリの無垢材を使用しており、とても気持ちがよく歩くたびに木の温もりを感じます。
又、時間とともに移り行く自然の色調や質感、惑いは傷でさえそれら全てが歴史を刻む斬新なデザインとして飽くことのない空間を演出し続けます。
4.新しいものとの調和(現代風にアレンジを加える)
元来妻は洋風なものに興味があったこともあり、ただ武家屋敷のような「和」のみの雰囲気は嫌がっていましたので、照明器具は洋風なものを取り入れたり、壁の色も部屋によって土を混ぜ色合いを変えたりレンガや石などを使って現代風にアレンジを加えたりして和洋が混在している感もあります。
ですから訪れる方は年配の方はもちろん、若い方たちからも「素敵ですね」と言ってもらっています。
5.子供達の笑顔
子どもたちも元気に家中を走り回り、柱をよじ登ったり、梁にしがみついたりしています。
また、薪ストーブや囲炉裏の火も興味を示し何でもしたがりますが、危ないからといって何でも「ダメ」ではなく危険なことをしっかりと教えて危険を認識させたうえで体験させ、注意して見守ってやっています。
そうすることで子供も元気にたくましく成長することが出来ると思っています。
遊びに来た子供たちも中そうした自然の力を感じるのか皆笑顔で木の家を体感し、必ず「また遊びに行きたい」と後で母親に言うそうです。
6.循環
このような家に住んでみて私自身一番気に入って入っていて、家にいて本当に心が落ち着きます。
民家も木も水もそして人も全て循環の中で生きています。この家はこれからも永くそして力強く大地に踏ん張り、私たちから子供たちへ、子供たちから孫へと受け継がれてゆくことでしょう。
7.出会いと感謝
このような素晴らしい家づくりに携わってこられたたくさんの方々にこの場をお借りして心よりお礼を申し上げます。
無駄口を利かず黙々と仕事をこなす秋月さん(大工の棟梁)。
若いのに確実に伝統技術を継承している前山さん(左官職人、土壁)。
私たちの無理な注文をいつも快く引き受けてくださった松尾さん(夢木香の社長)。
引渡し後も常に家の不具合はないか心配してくれ何かあれば遠方からすぐに駆けつけてくれました。
松尾さんが「一生親戚付き合いをするつもりで家づくりしてますから・・」
と笑顔で語ってくれた感動は今でも忘れることが出来ません。
本当にありがとうございました。
そのほか、この家づくりをめぐって縁あったほかの大勢の方々、本当にありがとうございました。